株損益概算(前日比)
ひろぎんは大きく変わらず。
メンタルヘルスは+3.6万。
アビストは大きく変わらず。
株式相場
強すぎる。
雑談
最近、とある小説を読んでいたら、こんな一説が。
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顔を洗い、歯を磨き、着替えて寝室へ向かう。
ベッドサイドの小さなスタンドだけが点いていた。
隆一はトイレに立ったらしく、枕元には読みかけの雑誌と、充電中の携帯が置かれている。
置いてある隆一の携帯が小さく振動した。
何気なくふり返った帆奈美の目の前で、液晶がふわっと灯り、ロック中の画面にラインのメッセージが数行、浮かびあがる。
(・・・え)
再びの振動。
再びの数行。
頭が、きぃんと白く痺れた。
見下ろすうちに、夫の携帯画面がすうっと光を失い、消えていく。
トイレで水が流され、ドアを開け閉めする音が聞こえた。
とっさに帆奈美はベッドにもぐりこんだ。
隆一の足音が廊下を近づいてくる。
鼻まで布団を引き上げて息を殺していると、寝室に入ってきた彼が、布団をめくりながら手を伸ばし、枕元の携帯を取るのが気配で分かった。
空気が、固まった。
立ちつくしたままの隆一が、こちらの様子をこっそりうかがっている気配が伝わってくる。
気のせいだとは思えない。
無音の空気が長すぎる。
すぐに目を開け問い詰めるべきだろうか。
それとも、知らないふりをきめこむ方が得策だろうか。
無限のように思える数秒が過ぎてゆく。
訊きたいことはあるはずなのに、言葉を発するだけの気力がなかった。
見慣れたはずの天井が、へんによそよそしく感じられる。
胸の波立ちがおさまらない。
低い振動とともに画面に浮かび上がった、ほんの数行。
それが、合計二回。
たったのそれだけだ。
なのに、そのあまりにも若く愚かしい言葉の羅列と、語尾にいちいち添えられたカラフルな顔文字は、隆一と帆奈美の間に積み重なっていたはずの二十数年をあっけなく粉々にするほどの破壊力を持っていた。
裏を返せば、要するにそのくらいのことで粉々になってしまう程度の信頼関係だった、ということかもしれない。
帆奈美はとうとう言葉を押し出した。
「あなた・・よそに女がいるよね」
その瞬間の隆一のポーカーフェイスは称賛に値するものと言っていいだろう。
眉ひとつ動かさずに、けれど、だからこその不自然さを露呈しながら、彼は口をひらいた。
「はっ。何を言い出すかと思えば。馬鹿じゃないのかお前、そんな・・」
「やめて」
帆奈美はさえぎった。
「言い逃れとかは、みっともないからやめて。聞きたくない」
「おい、帆奈美」
「全部分かってることなの。私、あなたのラインに送られてきた文面を読んじゃったから」
夫の顔から、まるで仮面がずるりと滑り落ちるように表情が消えてなくなるのを、帆奈美は見た。
のっぺらぼうだ。
ほんとうに宇宙人に変わってしまったかのようで背筋が寒くなる。
隆一は、何も言おうとしない。
弁解の言葉もないのか、こちらの出方をうかがっているのか、おそらくは後者だろう。
「すごく仲がいいのね」
帆奈美は手の内は明かさないまま続けた。
「全然知らなかった。あなたが私を裏切っていたなんて。浮気とか、遊びとか、そういうことだけはしない人だと思ってたのに。長い付き合いでも知らないことっていっぱいあるのね」
「・・きじゃない」
突っ立ったまま、隆一がぼそりと言った。
良く聞こえなくて、「え?」
短く訊き返したのが挑発のように響いたらしい。
「浮気じゃ、ないし」
苛立たし気に声を張って、隆一はくり返した。
「悪いけど、俺、本気だし。そのへんの不倫ごっこと一緒にしないでくれる」
(恥ずかしい)
というのが、帆奈美の抱いた唯一の感想だった。
絵に描いたような男の開き直りと、まるで乙女のような純情。
まさしく「そのへんの」勘違い男が言いそうなクサいセリフを、よりによって自分の夫が平然と口にしていることに耐えられなくなる。
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いやー、恐ろしや。
スマホをほんの一瞬見られただけで、まじで二十数年が壊れちゃう、何もかが終わっちゃうもんなんだろうな。
私も本当に気を付けないとな~。
スマホは肌身離さず常に持っていないとな~。
絶対に奥さんにスマホを触れさせないようにしないとな~。
って、そんな相手いないわーーーーー。
はあ、何だか、逆にむなしくなってきた。